(14)骨髄バンクとの面談と木下ほうかさん

何度も骨髄バンクに連絡をとるうちに、私はKさんという骨髄バンクの広報の方を電話で紹介されました。私は「色々とお伝えしたい事、お渡ししたい文書があるのでアポイントをとってもらいたい。」と伝えました。K氏は全国で行われている献血活動に同行して骨髄移植のアピールを行っているようです。私は日本全国どこにでも行くつもりでしたし、東京の本体に出向くつもりも十分ありました。

何度かのやり取りの末面談の承諾をいただきました。K氏は私の金銭的負担や健康状況を考慮し、「近々九州で何日か献血活動が予定されており、自身も同行する。私の都合のいい時・場所にそこに出向いてもらってそこでお会いするというのはどうか?ついでに献血がどのような感じで行われているかも説明します。」との事でした。私は5月某日に行われる福岡県庁1階ロビーでKさんと会い、献血会を見学する事になりました。

私は「提言書」として以下の内容の文書を作成し持参しました。
その内容ですが、何点か項目をあげ
・ドナーさんに出る休業補償(自治体から支払)のアピール不足。一部自治体では14万程度支払われるのですが、その認知度も低いし、実施している自治体での献血会でしか告知していない。献血に足を運んでくれる優しい方は他県在住の知人・親戚にも声をかける可能性があるのではないか?

・ドナーさん側に、移植依頼のキャンセルが多いことが伝わっていない。「どうせ他の人がいる」と考えてしまうのではないか?また、いったん断りがあったドナーさんへの再チャレンジはできないのか?患者側がそのドナーさん以外合致した血液型がいない、という情報が伝われば再考するのではないか?
等なのですが、一番言いたかったのは

・骨髄バンクに登録しているドナーさんが、移植打診を受けたときのキャンセルの具体的数値を開示して欲しい。この病気の生存値の資料はいやというほど資料に掲載しているが、ドナーさんが確保に至る数値(一体どのくらいの方がキャンセルしているのか?)どの資料にも明記されていない。患者は病名を告げられてショックを受け、腹をくくって骨髄移植を受けようと思って動き出したら、徐々にキャンセルが70%近い事実を知り再度ショックを受ける。そのデータを持っているのは骨髄バンクであり、なぜそれを開示しないのか理由がわからない。かえって「血液や骨髄が足りない」という言葉に信ぴょう性を持たせるものではないか?
という点です。

献血会の見学は12:30から30分程度、邪魔にならないように遠巻きに見させてもらいました。予想以上に入れ替わり人が集まってきており、自主的に集まってきている感じでした。昼食が終わったあとわざわざ立ち寄ってくれた雰囲気がありました。

OL服の若い女性、作業服の屈強な男性、いかにもお役所の方!という感じの真面目そうな男性、たくさん優しい方がいるんだなと感心しました。私自身といえば自分の会社に献血車が来て募られた時しか献血の経験はありませんでした。

K氏は40過ぎくらいと思われる腰の低い方で、私の病状や骨髄バンクに言いたいことを親身になって聞いてくれました。結構お忙しそうだったのであまり話し込むのは避け、上記の内容を記入したA4用紙6枚が入った封筒を託し、追ってメールでも同様の資料を添付送付しました。K氏は封書を開封して若干その内容に目を通し、「どのような返事なるかはわからないが何らかの回答は必ずお返しする。」と言って別れました。

ただしかし、結局何も回答はありませんでした。私はほぼ毎日ドナーさんの進行状況を確認するため骨髄バンクに電話していたのですが、一度K氏に電話に出てもらいお渡しした文書がどうなったか聞いたのですが「あの書類は全てコピーして各部署に回している。そしてそれぞれの部署から見解をもらう予定である。」と伝えられました。もちろん、骨髄バンク側は私の疑問に答える義務はありませんおで、私は待つしかありませんでした。

その間私は別途血液疾患のがん患者の会に出席しました。その時のオブザーバーの方から、
「自身も白血病であり、ドナーさんからは30人以上キャンセルされ、結局型が3つ違い(50%!)の移植を強行し今でも生きている、と励まされました。その中でも骨髄バンクの話が出ました。噂レベルなのであまりはっきりしたことは書きませんが、概ね現場の方は一生懸命やっているのだが上の方はちょっと。。。という話が蔓延していました。

結局未だに何も回答はなし。予想はしていましたがやはり寂しいものです。移植が無事終了した私にはもう関係ない話だと思われるかもしれませんが、将来的に再発する可能性が十分ある病気ですから、全然関係なくもありません。

それ以上に血液疾患にかかった色々な患者さんのブログを見ていると、あまりに情報が少ないゆえ突然突きつけられる事実にその都度ショックを受けながら必死に病魔に立ち向かう姿をみると心が痛みます。ある程度事前情報を把握できていれば、対策とまではいかずとも腹をくくることはできるのではないかと。。。。

やはり組織の性質上、骨髄バンクはドナーさん側に寄り添った組織であるなと改めて思いました。では患者に寄り添う組織は何なのか?近年はチーム医療が充実し、病院側のケアも相当レベルが上がったと感じていますが、やはり病気によって患者の言いたいことは異なってきます。不条理だと思われる事を訴える場所はどこなのでしょうか?

この件については諦めかけていた年末、私はある書籍を購入しました。俳優の木下ほうかさんが書かれた「僕が骨髄移植をした理由」(辰巳出版)という本です。最近ブレイクの兆しが見える木下さんは骨髄バンク登録者であり(今は年齢制限で卒業)、1度のドナー移植経験がある方です。

この本の最後に骨髄バンク提供の移植に関するいろいろな資料があるのですが、私が望んでいた「バンク登録者に移植打診の連絡をした場合の返答率」的資料が明示されていました。理由も書かれてありました。その数値は約7割が最初の打診の段階でキャンセル(私は9割強と見ているのですが)、理由も仕事や多忙等時間がたてば状況が変わってくるのでは?と思わせるものばかりでした。

他の資料については全ていつの出典か記載されているのですが、1ページ使ったこの項目については「骨髄バンク調べ」としか書いてありません。おそらく初めて文書として開示された資料ではないかと思います。私の訴えが功を奏したかどうか、、、

それはちょっと考え過ぎですが、患者にとっては今後の治療の指針となるデータが一つ増えたのではないかと思います。色々ひどいことばかり言っていますが、私が無事骨髄移植を受けられたのは骨髄バンク様がドナーさんをコーディネイトしていただいたおかげ、もっともっと幅広い視野を持った活動をしていただく事を期待しております。

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