(17) 骨髄移植への偏見

さて、便秘の話はこれまでにして今回は骨髄移植のドナーさんの話です。
ドナーさんのキャンセルが相次いでいる時期、担当医からこのような事を
言われました。

「最終健康診断が終了し、移植日が確定したとしても移植の日に
ドナーさんがドタキャンをする可能性は決してゼロではない。
急に気が変わったり、当日それまで黙っていた家族の猛反対にあって
病院に現れなかったケースも稀にある。」との話でした。
私はその頃には他の患者やドナーさんのブログ等で色々情報を仕入れて
いたので「そんな事もあるかもしれないなァ」と普通に思いました。

ちなみに患者の側からすると当日ドタキャンとなった場合、すでに前処置で
放射線治療等を行っており、赤血球・白血球・血小板がほぼゼロになって
おります。赤血球・血小板は輸血で補填することも可能ですが、白血球を
輸血する方法はありません。

次の移植がどんなに早く実現したとしても
せいぜい1ヶ月後、その間患者は免疫力がほぼない状態でひたすら
日常生活を送り、移植を待つだけとなります。
ちょっと体調を崩しただけて致命的な状況になりえます。

ドナーさんのデメリットについては資料にも明記されており、しびれ
(低カルシウム血症)、血圧低下、不快感、骨の痛み、倦怠感、頭痛等が
数日確認される場合があると明記されてます。
また「ごく稀だが死亡例や重篤な合併症も過去確認されている」とも
記載されています。

私が色々と確認した限りでは、採取した部分の痛みが数週間微妙に残った、
という話がそこそこありました。しかし大方は数日で違和感は解消している
ように思えます。もちろん痛みがいつまでも残った人も多くいると思いますし
声を上げていない人も多いかと思います。

私が言いたいのは「死亡例がある」事と「重篤な合併症」について
根拠のないデマ・誇張した話が口コミやWEB上で蔓延しているように
思いますし、それがどうにかならないか?と思うのです。

某匿名掲示板や某質問袋ではドナーが予定されている人の会話の中に
態々割り込んでいって、移植の危険性を滔々と解く人を何回も見ました。
また、私はこの病気の他にもいくつもの持病があり数カ所通院しているのですが、
そのうちの一人の先生に、ドナーさんが中々に決まらない事を愚痴ったら
「移植で死んだ例があるからみんな警戒するとよ」と笑いながら言われました。

あろうことか医者がこのような発言をするのだから、世間的にもそのような
印象なのだろうなと怒る気にもならず情けなく思いました。

一応ですね。死亡例って過去日本で1回、海外で3回のみです。発表では。
それも全て全身麻酔時に不慮の状況が発生したものだそうで、骨髄採集が
直接原因ではありません。
細かい事を言えば、輸血だって常に命を落とす危険性はつきまとうのです。

しかし、せっかく「苦しんでいる患者のために骨髄を提供しよう」という
気になったドナーさんや家族に対して、不確かな情報を実しやかに
吹きかける人ってどんな神経の人なんでしょうか?
その後ろに患者さんがどんな気持ちで待っているかわからないのでしょうか?
書き込んでいるのは本当に当事者もしくはそれに近い方なのでしょうか?

私はこのブログで「ドナーさんのキャンセル、脱落」という言葉を何度も
使いますが、決してそのドナーさんを非難している訳ではありません。
それぞれ理由があったと思いますし、現に私は1人のドナーさんから骨髄を
頂き現時点元気で生きています。
ドナーさんは全てボランティアです。本当にありがたく思っています。
ドナーさんがいるからこそ多くの血液疾患患者が救われています。

しかし、その流れを分断するのに繋がる安易な行動は本当に謹んで
もらいたいと思います。危険性を隠蔽せよと言っているのではありません。
ただ、臓器を提供する、という日常ではあまりない事に意見する場合、
する側も十分に責任を持って発言すべきだと思います。
繰り返しますが、日本では過去1回の死亡例を「死んだケースもある」と
言い切るのは誇大表現だと思います!

ただ個人的には、客観的に見れば骨髄移植という重たい行為がボランティアで
全て賄われていることはもう限界であると思います。
どこかで強制的な部分がないとあまりに非効率です。

と言っても無理やり骨髄の採集を行え!と言っているのではありません。
例えば、国民全員に中学時代あたりに規則として血液検査を行ってもらい、
血液型はもちろん白血球の型等をデータベースに入力しておくのです。
紐つけるのはマイナンバーでも何でもいいでしょう。

そうしておけば、いざ骨髄の移植が必要となった場合、ピンポイントで
合致する人を探すのが容易になります。
もちろんその方が骨髄バンクに登録していなくても交渉する余地はあるでしょう。
現状の、双方の身元を知らせない、というシステムを残しておけば
骨髄が金で売買されるという心配も回避されるのではないでしょうか?

ツイッターで少し検索するだけでも、「ドナーさんが誰一人いないことが
判明した。とにかく一人でもいいから骨髄バンクに登録してほしい!」という
悲痛な声が常にいくつも上がっています。
日本骨髄バンク様も創立して30年が経過。常時財政難なのは重々承知して
いますが新しい取り組み方をそろそろ考える時期ではないでしょうか?

今回はこんなところです。
次回より入院編です。

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