「余命」という言葉の意味

こんばんは。本日は近所で行われたがん治療に関するセミナーに参加してきました。中々面白い内容でした。先生の説明も分かり易くいい講義だったのですが、質問コーナーでちょっと微妙な雰囲気になりました。

質問された方が(5人程度)皆自身に今行われている治療についての不満・不安とも聞こえる話を質問として訴え始めたのです。
先生もその方達とは初対面の訳で詳しい治療状況を把握できてるわけでもなく一般論でしか答えるしかなかったと思います。
何か誤魔化しているような印象にも取られかねずちょっと可哀相でした。

ただ、質問された(おそらくですが)患者さんの気持ちも分かります。
ある人の話を聞く限り、抗がん剤の効き目が数年しか期待できないと治療で言われていて、その先効かなくなったらどうなるのかはっきりしていない状況のようです。そりゃあ、誰かにはっきりとした回答をもらいたい気持ちになると思いますよ。皆さん必死でしたもん。

がん治療をされてる患者さん全てが最高設備の整った病院で治療されている訳ではありません。大きな病院の先生と話せるチャンスがあれば何が何でも答えを引き出したくなる気持ちは痛いほど分かります。

本題ですが、私が以前書きました「余命」という文言について再確認ができました。
治療の現場では「余命」なんていう言葉は聞いたことがなく、「生存期間中央値」もしくは「予後」という言葉で説明されます。

この中央期間生存値ですが、過去を含め患者全数に対し50%の患者さんが亡くなるまでの期間を示します。例えば肺がんの患者さんが日本に100万人いて、その内50万人目の患者さんがなくなった期間が発症後5年だったら、数値は5年となる訳です。

そうなんです。生存期間中央値というのは個人の状況をさして言っている訳ではないのです。その患者が特定の病気であると診断され、その病気についてのデータに患者の条件を当てはめて算出?しているのです。
ですので、まだ治療法が発達していなかった時代のデータも含まれますし、現在進行形の患者はまだ生きていますので、数字には反映できない要件も多く、「ブレがある数値」と捉えた方がいいと思います。
でももちろん重く受け止めるデータとは思います。

ですが、患者としたら具体的な数値を突きつけられるのはかなりキツいことです。
私もそうでした。どうしても悪い方悪い方に考えがちです。

しかしですね、テレビのバラエティで「芸人の◯◯が健康診断で衝撃の余命◉◉年宣告!」などという内容の番組を作り、またその文言だけがネットニュースに載ったりすると非常に憤りのない怒りを覚えます。
一見教養番組のふりをして番組作成して、余命というインパクトのある言葉で客寄せしやがって!」という怒りです。

そういう番組には「医者」と称する方がそのような宣告をされていますが、
本来踏むべき  ①患者の何らかの検査結果を確認する→
②その数値から特定の疾患にかかっていると判断する→
③その疾患のデータから確認できる生存期間中央値をコメントする。
という流れをとっているのでしょうか?私には単純な医者の勘で言っている
ように思えます。もっと言えば「医者なの?」とも思います。

私が一番言いたいことはですね、がんなどの再発が懸念される病気と闘っている人は常に不安と戦いながら日常を送っているんです。
そして中々その事を周囲の人に理解してもらえない。健康はまだ健全な状態を保っている人にも興味あるテーマだとは思いますが、この「余命」という言葉があまりにもお手軽なおどかしワードとして使用されすぎだと思います。

実際に肌で感じている人の気持ちがわからないのでしょうか?
2人に1人はかん患者と言われている時代に、こう企画を製作している現場の方々の周りには病気で苦しんでいる人はいないのでしょうか?

以上です。

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