こんにちは、CMBOです。
先週金曜、妻から衝撃のニュースが入りました。近所の商店街の洋服屋さんで飼われていた“ビッちゃん”がついに亡くなってしまったというLINEが入ったのです。私にとっては10年近い付き合いだった思い入れのある地域猫ちゃんでした。


このおばあちゃん猫、7〜8年前に私の住む街にいつのまにか現れ、紆余曲折あった後、5年くらい前から親切な商店街の洋服屋さんから面倒をみてもらうことになり、静かに余生を送っていたのです。この猫ちゃん、その時点では左目がほとんど見えないようであり、何処かで大怪我したようで左足を引きずっていました。おそらく車に接触したのでしょう。
ただしとても人懐っこく、店を通りがかった通行人にいつもお腹を撫でられており、親しみを込めた意味でしょうがその風貌から、洋服屋さんから“ビッちゃん”と名付けられてしまいました。(苦笑)
しかし、この猫は私達夫婦からはその数年前から触れ合いがあり、勝手に“さーちゃん”と呼んでいました。理由は出会いが丁度桜が満開の季節だったからです。混乱するかも知れませんがここではさーちゃんで統一します。

さーちゃんは8年くらい前からこの街に現れたようです。元々は何処かで飼われており、捨てられた後、車に跳ねられ脚が不自由になり、この街に住みつくようになったという噂があるのですが、真偽の程は分かりません。確かに車には非常に臆病で、左足が不自由であるということもあり、道路をフラフラと渡る、というような事は滅多に無かったように思います。
さーちゃんはこの街の商店街の裏の何箇所かをねぐらにしていたようです。そして当時から人懐こさは変わりませんでした。私達夫婦はいつしかさーちゃんと仲良くなり、特に私は仕事から帰ってくると家に入る前にさーちゃんを探してカリカリを与えるのがほぼ日課になっていたので、特に私の方がさーちゃんから懐かれていました。いまでもさーちゃんから身体を擦り付けられる感触が残っています。

本来なら家で飼ってあげたい気持ちだったのですが、私の住むマンションはペット飼育厳禁。特に大家さんは猫が大嫌いなようで、断念せざるを得ませんでした。一度は自身の駐車場に餌置き場をコッソリ設置し、さーちゃんも夜中に自然に餌を食べにくるようになっていましたが、勘の鋭い大家さんから程なく撤去されてしまいました(苦笑)
しかし、自宅近くの商店街の中にある親切な洋服屋さんに面倒を見てもらう事となり、店先に小屋まで作って貰いました。元来とても人懐っこい彼女ですから、いつしか商店街の人気猫となり、昨年は彼女のカレンダーまで制作される事態となったのです。

そんなこんなで私との付き合いも継続しました。既にお店から餌を与えられているので、餌やりは自粛しましたが、仕事から帰り家に入る前にさーちゃんのところに寄り、シャッターが閉まった店先で彼女を撫でるのが私の日課となったのです。しかしすっかり人気者となった彼女には既に先客がおり、諦めて帰るのもしばしばでした(笑)でもさーちゃんは私の事を覚えていてくれました。
しかし、元は野良を経験した為か、さーちゃんの身体は日に日に痩せ細っていきました。野良の猫の寿命は3〜4年と言いますから洋服屋さんに面倒を見てもらって無かったら彼女はとっくに居なくなっていたでしょう。
そして私の病気。更には骨髄移植。昨秋死線を彷徨いつつも何とか退院出来ましたが、担当医からはペット・小動物との接触は厳禁だと言われました。当然さーちゃんを撫でるのも自粛しなければなりません。辛かったのですが、私は医者の言葉を守るしか選択肢はありませんでした。
その頃にはさーちゃん側も寄る年波で小屋の外に出る回数が極端に減ってきており、私が姿を見かけるのもほとんどなくなりました。1カ月に1回くらいは店先にいるのをみる程度です。私が近寄っても忘れているように見えました。摩ってあげれば思い出したかも分かりませんが。。。。
ただ、先週の日曜日。私達夫婦が店の前を通りかかるとさーちゃんが店の前で日向ぼっこしていました。近くで見るのは実に久しぶりでした。流石に接触する訳には行きませんでしたが、優しく語りかけてあげました。久しぶりの接近はなんだか不思議な気持ちでした。

そして金曜。妻が洋服屋さんの店先に掲示されたお知らせを発見したのです。
とても残念です。でもさーちゃんは地域のみんなから愛され、本当に幸せなニャン生だったと思います。一歩間違えば5年前には命を落としていたでしょう。そして当時荒んだ心境だった私の心を癒してくれた事は本当に感謝しています。最後に出会えたのも神様のお導きだったような気がしてなりません。そして洋服屋さん、長い間さーちゃんの面倒を見ていただき本当にありがとうございました。
さーちゃんは奥ゆかしく、近所に住む野良猫から何度も小屋に侵入されていました。しかしその都度静観し、騒ぎを起こさず、洋服屋さんがそれに気づいて追っ払ってくれるのを待っていました。その控え目さが長生きの秘訣だったんだなと今となっては感じるのです。
さーちゃん。今までありがとう! 大病を患った私にとっては退院した時に前のように洋服屋さんの店先にいてくれた事はとっても勇気づけられましたよ。これからは天国から見守ってね!
