言い張るだけの論理派

こんにちは、CMBOです。

今日はちょっと趣向を変えてミニ小説なんぞを書いてみたいと思います。当然内容はフィクションでございます。


その男、仮にMとい名前の男は骨髄異形成症候群という病気に罹り、勤めている会社を約1年間休職していた。今年の春に体調が落ち着いたので復職し何とか業務をこなしていた。体調はまあまあ順調である。

年の瀬の某日、Mは上司のDに声をかけられた。いやな予感。このDについては一度はパワハラで訴えようとした事もある因縁の深い相手である。Dはこんな事を言い出した。「Mさんは年末年始の間3日有給を設定してあるけど、さっき人事課からメールが来て、今月16日からMさんの有休は0になるんだって。だからこの3日については休むと欠勤扱いになって、日割りで給料が引かれてしまうらしい。」何度も確認したんだけど社則で決まっていて仕方ないらしいんだ。」

正に晴天の霹靂である。Mは復職時には部長のDと人事課長同席で面談を行なっていたが、その際「復職直後には前の分の残りの6日の有休がある。そして我が社は毎年12月16日に有休が発生するシステムになっているので、新たに20日前後の有休がつくはずです。」との説明を受けていた。ちなみにこの会社、新たに有休が付く際は前年消化しきれなかった有休は消えてしまうのだ。

ただし今回のMの場合、前年の出社率が80%を切っている為、有休は一切発生しないというのだ。発生するのは来年の12月16日以降。それは社則に明記されているらしい。

復職面談の際、人事課長の曖昧な返答についてしっかり確認しておけばよかったのか?でも責任ある立場の人の言葉は普通そのまま受け入れるものである。Mの会社は小売店であり、休みスケジュールは毎月部内で調整して決める。今回Mが希望した休日日程をDがそのまま人事部に提出して指摘されたのだ。Mが設定している有休まであと数日だというのに。

Mは抗議したい気持ちはヤマヤマであったが、何も行動は起こさず諦めることにした。人事課長の言った、言わないの話。念入りに確認すべきだったか否か?その辺りが焦点になると思うのであるが、結局社則で決まっている以上覆る事は無く、徒労に終わる可能性が高いのだ。その間嫌な思いで過ごす事を考えれば諦めるしかない、とMは思った。

しかし腹立たしいのは上司のDである。実はMの会社、今年から叫ばれている働き方改革をベースにして、全社員1年間の間に5日間必ず有休を消化するよう御触れが出ていたのである。その説明は一回は春に成されたようあるが、Mが復職した後の夏に部内会議で改めて説明が成されていた。そこでMは疑問に思った。「約1年間休職していた自分にもそれは当てはまるのか?」と。12月16日に有休が付与されるのを待って3月までに5日間一気に消化すればやれない事はないが、長期休職者は違う処理になるのでは無いか?と。

Mはハッキリとその場で「私も対象なのでしょうか?私は最近まで1年間休職してたのですよ」と尋ねた。しかしDは「Mさんも同様だ。確認した。」と言うのである。部長という立場の人がそう断言するのなら「本当ですか〜?」とか中々聞きづらい。実際Mはそうだと受け取ったのである。

結局、有休を3月までに5日消化するという「会社の意向」に従い、Mは12月16日を待って有給消化に入りまずは年末年始の間3日を設定。予定も入れたのである。そして襟首を掴まえられ「無いよ」の通達。この会社の社員には別途「特別有休」なる長期間保持できる有休が4日あったのだが、12月16日以降有休消化をしなければならない事を考慮し、その4日は夏から秋の間に消化していたのである。

Mは体調が悪いとか、ただ遊びたくて有給を消化し、設定していたのではなかった。この会社も他の多くの会社と同じように通常時はお題目がないと有休は取りにくい会社である。会社の意向と上司の断言があったからそうしていただけなのだ。

「部長の指示があったので有休設定をしていたのですが」と言うと「どうも違ったらしい。その日に出勤にすれば欠勤は回避出来るよ。今からなら設定できる。」と言うのである。何とまあ、相変わらず人の気持ちが分からない人間である。Mは「もういいです、欠勤で。予定も入れいますし。」と会話を打ち切った。

Dは一見論理派に見える。専門用語を駆使して、自分の範囲内の話は立て板に水で話し、怒涛の速さでPCの入力を行う。端から見れば実に聡明なビジネスマンに見える。しかし実際に一緒に仕事をした者が語る彼の印象は「頭が堅い」「頑固」「こだわり過ぎる」「いくら説明しても此方の立場を分かってくれない」という声ばかりである。そしてもっと深くつき合うと「理解力が無く、知らない事を説明しても分かったふりをするという見解に落ち着くのである。

一般的に「論理派」と呼ばれる人は、その反面コミニケーション障害の傾向があると良く言われます。論理的な話で相手を“納得”させようと考えているのでは無く、論理をまくしたてる事で相手の反論・異論を封じようとするのです。その内容に矛盾があっても職場内の立場が違えば中々下のものは反論しにくいものです。

人の気持ちを汲み取る能力に欠けているから、論理で相手を一方的に丸め込もうとする。そうなんです、こういう人間は論理派なんていうかっこいい者では無く、ただ言い張っているだけなのです。会話のラリーが出来ないから。

Mのこの状況。もしDがMを個室に呼び出し「いや~~、俺が思い込んでた!申し訳ない!でも社則で決まっているからどうしようもないんだ。俺も掛け合ったけど。何とか納得してくれないか?」という言い方をされればそれなりに丸く収まる筈なんです。

しかしそのような相手の懐に入っていくコミニケーションは避け、用も無いのに「出勤したら?」という代替え案(しかも年末年始の真っ只中)を真面目な顔で持ち出すD。それが彼の駆け引きなのでしょう。

Mは「諦めて忘れる」という選択をしました。変えられないものを執念深く根に持っても自分の心を痛めつけるだけだからです。そして心の無い人には何を言っても届かないから無駄なのです。これまでのトラブルを思い出しても。。。

結局Mは今後1年間、来年3月に4日間付与される特別有休以外は有休は0で勤務しなければいけなくなりました。。。。。「まあ、いいだろう」(←ペコパ風に)人生に試練はつきものですから。Mの闘病生活とその余波はまだ続きそうです。

まあ、こんな感じですね。フィクションですよ!フィクション!

年内にご挨拶をもう1回上げますね。

それでは、また。

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