最後の完全合致のドナーさんが着々進行しているものの、どこかの時点かで急にいなくなってしまう可能性があるのですから、私は気が気でない毎日を送っていました。いてもたってもいられなくなった私は、これよろちょっと遡る4月に以下の2点をやむなく実行することにしました。
一つは親戚筋への骨髄検査のお願いです。ある程度の親戚までであるならば、骨髄バンクに登録せずとも、血液検査を行った上で型が一致すれば移植は可能との確約を得ました。なので、これは最後の手段としてあまりやりたくはなかったのですが、私の同世代の親戚筋、そしてそのお子さんたちに骨髄移植前提の上で血液検査を行ってもらえないか依頼しようと考えました。
おそらく8000円程度かかる経費は私持ち。そして骨髄移植が実現すれば別途14万の謝礼を提供する事を決めました。この14万の根拠は全国の各自治体の一部で骨髄移植を行ってくれたドナーさんには約14万の謝礼金が出る制度があるからです。全体で見ると日本の3〜4割の自治体でしょうか。。。。残念ならが私の住む市及び隣接する市には全くありません。
もちろん血液が合致する確率はかなり低いです。低く見積もって私の血液の方が1万分の1としても50人集めたとして200分の1。でも200分の1なら可能性が少しはあるのではないか?それほど追い詰められていたのです。
ただし、それは相当重い話なので、片っ端から行うという訳でもありません。私は両親とも兄弟が多いので人数はそこそこいるのですが、それぞれ事情を話す内容を考えねばなりません。正直、私の親の世代はそこそこ交流があるのですが、その子供の世代は学生時代依頼ほとんど会っていない、という方がほとんどだったからです。
最初に私がお願いしたのは、母方の兄弟の娘さんです。40歳前の方でした。私の隣の市に住んでいるのですが、お互い実家は別の県の離島ですので幼少時代はそれなりに会っていたのですが、大人になってからはほとんど交流はありませんでした。
ただし、3年前の私の父の葬儀の時は大変力になっていただいていました。 なぜ最初がその方だったかというと、彼女は総合病院の看護士であり、血液検査ができるかどうかは別として、私の病状についてはある程度理解が得られるのではないかと思ったからです。私は「病気の件で相談したいことがある。」と連絡し、妻と2人で市内の某ホテルで会うことになりました。
会見の内容としてですが、血液検査の希望については正直に話しました。ただ現段階では私がまだドナーさんが残っている状況であり、その方を含め完全一致のドナーさんが全ていなくなったら再度面会をお願いするので、その時改めて考えて欲しい。今日は話を聞いて欲しいだけだと申し出ました。
彼女は私の不躾なお願いにも親身になって話を聞いてくれました。そして一通りの話が終わった中で「自分自身最近は体調不良が出ていて、薬をいくつも飲んでいる。仕事もここしばらくは半日のみの出勤だ。」という事を話されました。予想はされていた事ですが私は非常に申し訳ない気持ちになりました。
私は参考資料として、ドナーとなる場合の適用事項的な書類を事前に作成しており、彼女にも最初に見せたのです。その中に持病がありずっと薬を飲み続けている人はNGである、という一文があるのです。ですので、彼女としては自分の気持ちは別として「私は多分審査で引っかかりますよ」という事を暗に伝えたかったんだろうと思いました。
40代前後なら、何らかの持病があり常備薬を飲んでいる可能性は十分あると思います。ただ、一番辛かったのは普段全然付き合いのない親戚に思いお願いをした上でそんな自身のプライバシーについて語らずを得ない状況に追い込んでしまった事でした。彼女とは「ドナーさんの結果がどちらになるにせよ、改めて報告します。」と伝え別れました。親身になって対応していただいた彼女についてはいまでも本当に感謝しています。
私としては彼女を皮切りに、親戚への血液検査をお願いして回るつもりでしたが、気持ちが揺らぎ一旦保留することにしました。あともう1点、これは実現したとしても即どうなるものではないのですが、骨髄バンク様の現行システムにつうてどうしても納得できない部分についての直接面談です。最初は患者対応窓口で主張しても相手にされませんでしたが、何度かその大まかな内容を伝え続けるうちにようやく後方の方と電話で話をすることができました。