私の骨髄移植⑧ 骨髄バンク登録、完全一致のドナーさん17人に浮かれていたあの頃

こんにちは、みやけです。今回も私の骨髄移植の回想企画。8回目となります。ビダーザ注射による治療が本格的に始まり、骨髄バンクへの登録も完了。移植を目指し一歩一歩進んでいた頃です。

まず約2週間の入院を終え 退院し、21日間通院もせず普通に過ごした後、再度7日間連続で通院しビダーザ注射を打ちます。実際には土日は病院は開いていないので、月~金まで打った後、土日を挟んで週明け月・火で完了。そして21日間待った後再度このパターンを繰り返すことになります。

この時は採血等は行わず病院に行くとすぐに化学療法室に連れていかれ10分程度待った後1本注射を打って終わり。なので病院での滞在時間はせいぜい20分程度です。とはいえ7日間連続というのはずらすことは出来ないので、どうしても勤務先とこの通院について兼ね合いを計ることになります。

出た結論としては、「ビダーザ注射期間中は通常9~18時の勤務時間の所を10時半~19時半とする」というものでした。と言っても当時の私の体調は免疫力が低く、他の社員や顧客と接触するのを避けたいし、体力も低下しています。結果、社内の物流倉庫にてほぼほぼ1人で軽作業をする、という状況になっていました。

倉庫には物流を委託している提携会社の社員は沢山働いていますが、自社の社員は私一人。そんなに急がない返品の検品や販促品のセット組などをシコシコ一人で行っていました。たまに用があって倉庫に立ち寄った社員と会話する程度です。なもんで、シフトをずらしても誰に迷惑をかけるというわけでもありませんでした。19時半はまだ委託物流の社員が残っていましたし。

朝9時に病院に入り、注射後9時半には病院を後にして高速で会社に向かいなんとか10時20分頃出社する、という性生活でし。もちろん高速代は自腹です。

会社からしたら、ただでさえ弱っているのに移植が決まると今後半年から長ければ1年の休業を申請しそうな社員ですから、そりゃあ長期的の仕事は与えようとはしませんわな。逆に私の側からすれば今後を考えれば金銭的にも節約しなければなりませんし、休日もあまり出回らず社会から切り離されたような生活が始まったのです。それはここ1,2年でようやく解けた感がありますが。。。

ただし幸いにもビダーザの効果はかなりあったようで、下の結果にあるよう血液の各種数値は大きく改善されていました。これにはホッとしましたね。入院し、多額の医療費を払い、仕事も犠牲にして託した治療ですが、効果がない場合も少なからずある、と聞いていましたので。。。

場合によっては移植を回避し、このビダーザを何年も続けている人もいるようです。移植にしても高齢だと受けられなくなるので、これで誤魔化し胡麻化し行く場合もあるでしょう。しかし手間がかかるし、保険適用とはいえ高額なので(うろ覚えですが1本=1日 1万円強とかそのレベルだったような気がします)高額医療費を適用させても毎月限度額ギリギリの8万前後のお金が飛んで行っていました。

ですので、ビダーザはあくまで一時的な処置であり、最終的な目標は骨髄移植であることは認識していました。前の回で書いたように前回の入院の前後に骨髄バンクには登録しており、治療が始まったころには少しずつ調査、ドナーさん選びが始まっていました。

ちなみに骨髄バンクへの支払費用ですが、かなりザックリ説明すると各種手続きに関する費用が合計10万程度。あとは移植を行う際ドナーさん側のホテル代等の経費(医療費はかからない)が1万程度負担の必要があります。患者側の命がかかった医療行為の金額としては安価なのではないかと思います。

ちなみに患者側が移植にかかる費用も特別高額というわけではありません。いちいちチェックしませんでしたが、その月の医療費の中に紛れていました。そもそも移植と言ったって方法としては輸血と同じように血液のパックを2時間くらいかけて流し込むだけですからそれほど大がかりのものではないので。ぱっと見輸血・点滴と見た目は変わらないのですよ。

ただ、その前に「ドナーさんの確保」という大きな問題があります。骨髄移植の場合、「HLA=白血球の型」が完全一致、もしくは部分的に一致していることが必要になります。この「白血球の型」はA,B,O,ABといった血液型とは全く別物です。私の母をはじめこれを混同している人がとても多いのが悩みの種でした。。。

HLAは大きく分類すると6つの型があるようです。更にもっと細分化された分類もあり、骨髄バンクや担当医が患者にもっとも合致するドナーさんをチョイスする場合、この型がより合致しているかを最重要視するようです。

参考資料 吉村やすのり氏 生命の環境研究所

そしてこの6つの型がすべて合致している場合「フルマッチ」と呼ばれます。しかしどうしてもドナーさんが見つからない場合、患者の容態が悪く移植に緊急性を要する場合、2つくらいまでは型が違うドナーさんからの移植もあるとのことです。

私は以前患者の会に出席した際、3つ型違いで移植を強行したというドナーさんに合ったことがありま。型が異なる場合どうなることが予想されるか?当然身体がその血液細胞を受け入れることに拒否反応を示すわけで、移植後様々な副反応、合併症を引き起こす可能性が高くなります。それも重度の。

なもんですから、医療従事者的には極力「フルマッチ」の型での移植を目論む訳です。しかし厄介なのはフルマッチだからと言って100%安全・安心というわけではないようです。とにかく治療期間中「もうええって!」と言いたくなるくらい再三聞いた言葉「個人により異なる」「やってみないと分からない」。。。あくまで「フルマッチ」は安全性が相当高まる、程度で受け取った方がいいようです。

ホントにこの骨髄移植というのは、人によっては大した副反応、GVHD、合併症もなく早々に社会に復帰する人もいれば、移植後も何度も入退院を繰り返した挙句、再移植する羽目になる例も珍しくありません。ただし兄弟間で型が合致した場合(可能性は25%)移植後の体の不調はかなり抑えられいるようです。

名前はあえて伏せますが、近年若くして白血病を患いながらも、奇跡的に復活を果たし選手として再度活躍しているアスリートの方がいらっしゃいます。その人の競技の環境は免疫力の低いものからすれば ちょっとありえない状況なのですが、移植後1年もしないうちにその場に戻っています。

風の噂ですが兄弟からの移植だったようで「だからだね」と思わずにはいられません。ただし私はその人の事は心から応援していますし、彼女は非常に過酷な状況を自身の努力で乗り越えたであろうことは確信しています。

さらにドナーさん側から見た骨髄移植の流れを述べますと、ドナー登録後ひたすら移植の打診の便りを待つことになります。移植の年齢上限は55歳なのですが、その間全く声がかからないことも珍しくないようです。声がかかると、骨髄バンクからの来報を受け流れの説明を受け、合意すると契約書締結、健康診断を経て移植というのがザックリしたものです。

しかしドナーさん登録者の側では、移植の際は下準備で7~10日ほど入院しなければならないことがネックになり、キャンセルことも珍しくないようです。もちろん仕事に都合もあるでしょうし、本人の体調もありますしね。登録の段階ではそこまで大がかりのものとは想像していない方もいらっしゃるようです。

さてさて、私の話に戻ると、ある時点で担当医から私の血液のHLAのタイプについて説明を受けた際、「この型は珍しいものなのか?それとも一般的なものなのか?(割合的に多いものなのか?)聞いたことがあります。回答は「特に珍しいものではなく、どちらかと言えば多い方の型」との説明を受けました。

そして、しばらく経って、骨髄バンク登録後、私のHLAの型が完全一致のドナーさんが何人いるか教えてもらえるかどうか担当医に聞くとOKとのことで返ってきた答えは、「17人いる」とのことでした。この答えには私も妻も大きく胸をなでおろしたのを覚えています。

移植の患者さんの中には、型が合致するドナーさんが見つからず、泣く泣く不完全一致で移植を行い、様々な合併症に悩まされる例を色々と見聞きしてきたのです。まあ、普通の人なら「17人も合致する登録者さんがいるのなら、移植に至らないなんてことはあり得ない。そりゃあ一人二人、いや半分くらいは統合が悪くてキャンセルする人はいるかもしれないけど、半分”脱落”しても8人くらいはいる!

・・・・普通ならそう思いますよね!普通なら!

担当医は特にこの件については言葉を発しませんでしたが、この結果に私も妻も浮かれ「移植はほぼ確定したも同然だから、あとはより良い状態で移植に臨めるよう自身の体調管理に気を付けるだけ!」とのんきなことを考えていました。それは10月頃だったと思います。

しかし、しかしですね。後からじっくり書こうと思いますが、この17人の登録者さんたちは全て私の前から去って行ってしまい移植は実現しませんでした。この時はそんなことになるなんて夢にも思いませんでした。この時期の私は担当医に入院生活の事とか、退院後の事とかいろいろと質問していましたが、すべて見当はずれの事を言っていたんだな?と情けなくも思います。

とにかく、この時期はビダーザ治療も順調、ドナーさんについてもある男性がドナー第一候補にチョイスされ、面談後契約も終わった。第二候補第三候補の方もリストアップされたという話が次々舞い込み、気楽な毎日を過ごしていました。それがねえ。。。

今日はこんなところです。それでは、また。

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