「馬場戦記 第3巻」「プロレステーマ曲烈電」~これを読んで感涙する覚悟はできているのか?~

こんにちは、みやけです。

今回は先月に発売された2冊のプロレス関連の書籍についての紹介とともに私の想いを述べさせていただきます。ネタバレを避けるため大枠をなぞる程度ですが。。。

まずは、10月30日に発売された流智美著『馬場戦記 第3巻 風雲独立編』です。プロレス評論家の流氏が、ジャイアント馬場にまつわるプロレス史を時系列で追いつつ、その時その時のビッグマッチ、注目試合について個人の感想を交えながら解説した本です。

過去には同様の企画の「猪木戦記」を計4巻出版しており、「馬場戦記」はこの後4巻、5巻まで出版予定との事です。ちなみに私は全て買いそろえましたが、「馬場ファン」(※馬場信者ではない!)の私にとっては一番興味のある時期に入ってきたので興奮しておりました(笑)

というのも私は1967年生まれであり、父にそそのかされ?「全員集合」を時には見限って?全日本プロレス中継を徐々に見だしたのが1973年(小学校1年)頃。そうです!ちょうど私がリアルタイムで見出した頃に突入したので嬉しい限りなのです!

過去流先生は幾多のプロレスに関する書籍を出版しておりますが、内容は多岐にわたります。プロレスの技に特化した本であったり、外国人レスラーのインタビューを主体にした本だったりするわけですが、私的には「東京12チャンネル時代の国際プロレス」がベストブック!(次点で「超一流になれなかった男たち」

この本は流氏の国際プロレスの思い入れについて、その時期その時期に応じて感じたことを書き記した本です。これが関係者目線ではなくファン目線で思ったことを書いているのが良い!

基本この手の本はマスコミの編集者目線で書かれがちであり、そうなると数少ない業界著名人に忖度せざるを得ない内容となり、読んでいる側は思い入れが覚めがちになるものです。

初来日したが全くの期待外れの外人、しかしシリーズが終了するまではあいまいな表現でしか評されず、帰国してしばらく経ってから「ダメ外人」扱いするパターンは結構多かった!しかし先生の本はそれがない!

東スポ・ゴング・週プロであまり評価されなかった試合でも先生が「面白かった。会場は沸いていた。」と語り、後日CS放送が発達して試合を見ることが出来ると「なんだ、意外と結構面白い試合じゃないか!」と思う事が多かったものです。

そして同時進行で紹介される時系列での”プロレス史”が実に正確に書かれているのもまた秀逸!これは当たり前の事なのですが、いわゆる”東スポ史観”で書かれた文はこの手の本を出す際は都合よく歴史を改ざんしている場合が多いのです!「プロレスに市民権を!」と右こぶしを挙げながら、自分たちがフェイクを生産しているという。。。

話が長くなりましたが、プロレスの捉え方は人それぞれで違うものであり、同じ試合を見ても皆違う感想を持つはずなのです。面白いものは普通に「面白い!」と言えばいい!ネタバレはあまりしたくないのですが、ちょっとだけ提示させてもらうと、この本では馬場対ブルドック・ブラワーのインター戦を「会場は大変沸き、キニスキーから王座を奪取依頼の馬場のベストマッチ」と書かれています。

ブラワーについては馬場が評価していなかったこともあり、この試合は取り上げられることがあっても「凡戦」の一言でかたずけられていたので、目からうろこが落ちる思いでした!少なくとも関係者の評価がどうあろうと「面白い」と感じる人はいるのです。

ブラワーについてはあのサイコパスキャラ故、特にストロングスタイルに重きを置く日本のマスコミ・ファンには評価が低いのは事実です。しかし、会場を盛り上げる事があったかどうかは別問題。双方どんな感じでうまく試合を作り上げたのかな~と想像を巡らせるのも楽しいものじゃないですか!

どうもプロレス村の関係者、マスコミ、識者と呼ばれる人は、過去の戦いの定まった評価に反する見解を表明するのに抵抗がありそうなのですよ。出したとしても色々と変な理屈をつけたがる!それを見ると「なんか苦しそうだな~」と思わずにはいられません。

以前、アメトーークでの「今、プロレスが熱い芸人」特集にてケンドーコバヤシ氏が中邑真輔の「中邑真輔のイヤァオという意味がどういう意味を持つのかは見る側各々がとらえてほしい!」と語りましたが、これはプロレスの神髄をつく素晴らしい言葉だと今でも思っています。

更に、、、話は大きく逸れますが、最近はyoutubeのプロレス関係の動画については、過去のプロレスのスキャンダル・出来事から各レスラーの特性について、作成者が「表では語られなかった真実」「レスラー間の評価」等のいわゆる”裏話”をジャンルごとにまとめた作品が沢山UP されています。

私も一時はその手の動画を色々見てみた時期はありましたが、内容の真偽はともかく、切り口更には話の導き方がどこかで見た覚えがあるものが大半だなあ、という印象を持ちました。とどのつまりは元ネタ、もしくは伝聞の話を文章を含めてそのまま作品にしているのです。

それは、基本的に元ネタが凝り固まったプロレス観であるだけに直ぐに分かるのですね。ただしそれは悪いことだとは思いません。自身の話で恐縮ですが、このブログでの私のプロレスの話でも、書かれた文章をそのまま流用して動画を作成されている方がいらっしゃいました。

ただし、それをもって「パクられた!」などと騒ぎたいのではありません。それを言われたら、私自身も画像とか動画とかは。。。。ただし、自身の言葉で語るのではなく、他人の言葉をそのまま使って「自分の作品」として世間に公開するってのは、承認欲求は満たされるのだろうか?と不思議に思います。小馬鹿にしたり、笑いを取ろうとしている文まで流用されていますからねえ。。。

大変話が逸れましたが、流先生の本の話に戻ります。先生はブラワー戦のように、それまでのプロレス観にとらわれることなく自分の感性での試合の印象を語られますから、それは話を聞きたくなりますよ!私はケンコバが話したように、ひとつのプロレスの試合にはファンが色々な見方をしている中で、それに自身と考えが合致したファンがいるととても嬉しくなりますので。

「無人島だと思ったら、仲間がいた!」という前田日明のような心境になるのです。(笑)そういう意味では上にあげた 「東京12チャンネル時代の国際プロレス」は先生が日常生活での自身の立場の変化と平行しながら、徐々に苦境に立つ国際プロレスの内部に少しだけ触れる、というマスコミにはない切り口なので大変楽しめるのです。

そしてこの馬場戦記、私がかすかに記憶しているのは、全日本旗揚げの頃からですから、3刊内では後半の部分で触れられているのですが、上記の理由から大変楽しめました。

私自身が「これを書いてくれたんだ!」と小躍りした、プロレス史的には大抵サラッとしか語られていない画期的な名勝負がしっかり述べられていました。しかも思い入れを込めて!(その試合はこの文の中では明記していません!)プロレスファンにもぜひぜひお勧めするとともに、4刊、5刊も楽しみなのであります!

そしてもうひとつ!我らが”世界のプロレステーマ曲研究家”コブラさんの本です!タイトルは「コブラのプロレステーマ曲 烈電」

(多分)「ミック博士の昭和プロレスマガジン」の別冊的立ち位置で出版されたこの本。情報をGETしていなかったので私的にはサプライズ的に出版された本でした。もちろん、即購入しましたが期待を大きく上回る内容でした。

ただしかし、こちらもまだ発売間もないので、やはりネタバレ的な事は回避し、本全体のコンセプトを私なりに勝手に解釈して、もや~っとした全体像を紹介したいと思います。

この本は主にFMW、さらにはそこから分離して旗揚げされたW★ING及びその他のインディ団体のビッグマッチで使用されたテーマ曲が何であったか?の検証結果を記した本です。

当時FMWやW☆INGでリングアナや広報を務められた大宝拓治氏の証言がふんだんに盛り込まれており、史料価値も高い本だと思います。大宝氏が語る裏のエピソード、選手の素顔も大変リアルです!

最初はテーマ曲大事典テイストの本かと思いましたが、実際はマガジン同様パイオニア戦士・FMW以降からの~インデイの流れをを時系列で追い、それぞれの選手が主にビッグマッチで使用されたテーマ曲を紹介しながら選手の経歴、更には外国人選手・マスクマンの正体まで網羅したものです!

私的にはテーマ曲以外はそれほど重きを置かなくてもよいのでは?とも思うのですよ。想像しただけでもそっちの方が手間がかかる!しかしそこを無碍にしないのがマニアとしてリスペクトしたくなる訳です。

後日コブラさんとやり取りさせてもらって聞いた話では、やはりこのチェックには相当手間がかかったようです。そりゃあ、「エル・プロフェッソ」の正体なんだっけ?となった際、私みたいに大雑把な人間だったら、「確か~と聞いてたな、でも勘違いかもしれん。。。掘り下げる人なんかいないだろうから無視してそのまま本にしちゃおう!」と思ったでしょうが、流石にそんな安易な手段はとられなかった模様です。

資料が乏しいB級外人については国会図書館に出向いて過去の週プロをチェックしたとか、、、流石!メインの項目でなくともそこまでこだわるとは!

私も1983年の全日本カブキ凱旋の”馬場抜きシリーズ”にて本当に上田馬之助は「馬場が出ないとシリーズをボイコットする」と全日本を脅し、それがマスコミに報じられたのか?を確認する為、親戚を訪ねた東京旅行の最中、皆銀座の老舗喫茶店の「資生堂パーラー」で4000円のケーキセットを優雅に楽しんでいるところ、私は単身国会図書館で当時の東スポのマイクロフィルムをまわしている、、、という楽しい思い出がよみがえります。(涙)

私の想い出はさておき、実際の所私のテーマ曲の知識は微々たるものなので、この本の内容がどれだけ曲の深い部分まで考察し、分析しているか?について手を付けるのを控えさせていただきます。

ただしかし、「大宝氏という協力者が現れた以上、細部までこだわらなければ失礼!」というコブラさんの誠実さがあったように思うのですよ!(この点はご当人に確認しておらず推測です)

そして、ある意味「テーマ曲」というのはメジャーの新日本・全日本に比べると”贅沢な存在”であるように思えるのですが、関係者が当時語ったコメントを読むにつけ、それぞれがそれぞれらしい考えをもって、関係者に意見したことが分かりそのあたりの人間模様は非常に興味深いですね。

詳しくは本書をご覧いただきたいです。そしてインディの度合いが深まるにつれ、来日する外国人レスラー、助っ人の怪しい格闘家等はウジャウジャ出てくる訳ですが、情報量の少ない中意地でも?それっぽいテーマ曲をチョイスするシーンは面白いですねえ。結局プロレスファンは一度はレスラーになりたいと思いながらも、東スポの桜井さんやゴングの竹内さんにもなってみたいんですよ!

という事で、あまり誉め言葉になっていないかもしれませんが、この「テーマ曲烈電」!中身の濃さは恐ろしいものがあります。コブラさんの生真面目さ、誠実さが感じられる本です!

かつて出版社が再三発売した「~のプロレス史」を凌駕する濃厚さであり、自民党の村上誠一郎議員とクラッシャーブラックウェルを足して2で割ったような重みがあるのです。

現在の購入方法は下記のコブラさんのアドレスに直接依頼。もしくはコブラさん出演のプロレスイベントで直接販売されていることもあるようですので、検索されてみてください!

 cobra_syogun@yahoo.co.jp

今日はこんなところです。それでは、また。

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