私の骨髄移植⑭ なぜか骨髄バンクと闘うガン患者

こんにちは、みやけです。今回の内容は私の骨髄移植体験記の14回目です。ようやく移植のドナーさんが確定し休職手続きを済ませ入院となる訳ですが。。。。

その前に私個人がどうしても書きたかったことを書かせていただきます。内容的には特定の組織に対する批判であり、このブログを読んでいただいている血液疾患に関わる方であれば逆に嫌な気持ちになるかもしれません。ご了承いただければと思います。

私は最初に移植が流れてからの半年間、骨髄バンクと”闘って”来たのです。言うまでないかもしれませんが、骨髄バンクはボランティア団体であり、血液疾患の患者と、移植のドナーさんになることを了承している登録者さんとをつなぐ唯一の橋渡し役となる組織です。

当然のことながら骨髄バンクの存在があったからこそ私の骨髄移植が実現し、今でも平和に生活できているのは間違いない事実です。そんな骨髄バンクに対して何故批判の対象としなければならいのか?傍から見れば理解しがたい行為かもしれません。

しかし、移植に至る過程においての情報の秘匿、、、それはやむを得ないかもしれませんが、あまりにドナー登録の方々の方に寄り添いすぎて移植を受ける側はあまりに受け身の状況でありすぎる事、そしてそのことにより自身の人生設計さえも狂いかねない事に大きな疑問を覚えたからです。

私自身このような思いを文に残すのは良くない事ではないか?非常に悩みました。しかし患者にとっては「移植は実現したのだからそれでいいじゃない!2転3転しようがそれはドナーさんがあってこそだから文句を言うべきではない」と言われても納得が出来ないことが多々あったのです。私は結果的にうまくいったほうではあるとは思いますが、事前に把握できる事があれば社会復帰も移植前のメンタルや社会復帰ももう少しうまく言ったのではないか?と思う事が多々ありました。

そんな経験を踏まえ、悪いとは思いつつも、このブログの骨髄移植体験記の回は自身の想いを振り返ると共に、他の骨髄移植に臨む血液疾患の患者さんに対して少しでも情報として役に立てば、と思って書いています。

それゆえ、この回を書くことにしました。中身としては「誰だれの対応が悪い」とかそういうことではなく「骨髄バンクのシステムの構造に問題があり、患者側のクオリティライフが損なわれてる」事を訴えたいのです。

では、私がどんな事を体験しそのように思うようになってか?を書いていきたいと思います。大きく分けると2点あります

① 登録者さんへの連絡から骨髄移植確定までの”確率”が患者に知らされない

前にも書きましたが、私は一度は骨髄移植が確定しながら登録者さんの最後の健康診断の結果が悪く流れてしまいました。しかしその他にも白血球が同じ型の登録者さんは計17人いたのですが、次々に脱落し最終的には「0」となりました。

ただし私は当初体重が90キロほどあったので、ダイエットで60キロ後半まで体重を落とし、体重差が大きい為当初”範囲”に入らなかった登録者さんもリストに入ってきたのでその中の最後の1人でようやく確定したのです。

17人も登録者さんがいるなら、普通の人ならそれが全滅するなんてことはまずない、、、と思うのではないでしょうか?実際私もそう思った一人のですが、それくらいの”全滅”はそれほどレアケースでも無いようです。私は計3回出席した患者の会でその事を聞いて回りましたが、25人全滅になり2つ型違いで強行移植、なんて経験をされた猛者もいらっしゃいました。

しかしよくよく事情を把握するとやむを得ないのです。骨髄バンクに登録される方は、その時は善意の気持ちで登録される方がほとんどだと思うのですが、実際声がかかり、「一週間近く拘束される」「採取には入院が必要」等の手間を改めて確認すると及び腰になり辞退するのも仕方がない部分があると思います。その時点では患者が移植を生命を賭けて待っている姿は見えないですから。

そして最も多い理由であろうことだと思うのが、仕事や育児、家族の状況やその時の健康状態によりやりたくても出来ない場合があると思います。更には「移植時医療事故で亡くなった場合もある」という無責任な噂。。。。(国内での移植時の死亡例は1件もなし!)その噂を信じた周囲の人たちから猛反対にあった、なんて話もあるようです。

何年か前に最新のデータが開示されていましたが、打診された人の移植が実現する確率は10~20%程度のようですね。感触的になんとなくそうではないかと思います。しかしそうであるなら私は3~4人実現してもよさそうなものですが。。。。。

もちろん、登録者さんが移植を行うにあたって経費を除けばほぼ無償、負担が大きいですから及び腰になる気持ちは十分わかります。しかし打診は全て手紙で行われる訳ですが、期限としている「打診後2週間以内の回答」までに「Yes 」とも「No」ともリアクションがない人が結構いてそれを知った際は悶々とした気持ちにはなりましたね。要求できる立場でないことは十分理解しているのですが、正直「断るなら早く断ってもらいたい!」という気持ちは正直ありました。ダメなら次の方に切り替えてもらいたいですしね。

しかし、一番納得できなかったのは、そのような状況であることはキャンセルが相次いでからようやくわかってきたことなのです。キャンセルが続出する、という現状が分かっていれば移植が実現するまで長期戦になり、その間自身の健康を保てるよう細心の注意を払わなければならないことは嫌でもわかります。また登録者さんの立場にたっての都合というのも理解できるのですよ。

しかし私は”常識”で判断してしまったため、白血球が同じ型の登録者さんが20人近くいる事で移植への実現を軽く考えてしまったのです。自業自得かもしれません。でもやはりその状況は専門家ならわかっているはずであり、なぜ教えてくれなかったんだ!という恨みの気持ちは凄くありました。10年後の生存率とかこっちが滅入るようなデータは嫌程見せられてきましたが。。。

最初、病院・医療機関を恨むところでした。しかしよくよく考えれば登録者さんを管理・ケアしているのは骨髄バンクであり、病院側は最終選考では意見するようですが、各登録者に打診する段階になると全く関係ないんですよね。状況は分かっていても説明するとなれば責任の所在が違うので積極的に話はしにくいでしょう。

そして患者と頻繁に顔を突き合わせるのは医療機関の側ですから、変に間に入ると責任を問われかねないかもしれません。であるならこちらも多少のお金を払って骨髄バンクに登録した際、色々と資料をもらう訳ですが、なぜその情報を明示してくれないのだ!と強く思いました。

言っちゃあなんですが、ドナーさんのありがたい存在について再三力説されるのは分かるのですが、受ける側は何があろうとただひたすら現実を受けるしかない、そう言われているような感じがすごくあるのです。そしてそれが次の細かい情報の提示の問題になるのですね。

まとめますと、確率が低いという事実は受け入れねば仕方がないのですが、その情報はしっかりと伝えてほしい!治療だけでなくその後の人生設計に関わるのです。今の世の中は色々なことについてメリット・デメリットを開示しているだけになぜこの事を真っ先に教えてくれないか謎でした。

② 登録者さんのプライバシー保護を極端に恐れるあまり経過を極端に秘匿しがち

この事も前に書きましたが、特定の登録者さんに打診が完了し手続きが進行する中、その経過について患者への情報開示があまりに少ないいう事です。どういう事かというと、私はほぼ毎日のように骨髄バンクに現在進行中の登録者さんの状況を電話で聞いていたのですが、順調に進んでいた人がある日突然”存在”しない事になっているのです。

”存在しない”というのはですね、もちろんこちらはその進行中の方の名前等の個人情報を知れるわけでもないので、電話しても「進行中の方の状況はどうなっていますか?」という漠然とした聞き方をするしかないのですが、その人が急にいなくなっている事があったりするわけです。聞く側は前後の状況をまったくチェックしてくれず、今まで3人進行中だったのが、ある日急に2人になり、それから根掘り葉掘り聞いて”消えた”1人が健康診断まで行っていた登録者さんだった、というような事の繰り返しな訳です。

もちろん、その消えてしまった方の個人情報を入手してどうこうしようという訳ではありません。しかしバンク側は「なぜそのような事になったか?」の情報について少しでも話すのを非常に躊躇している印象があるのです。向こうからしたら私が何やら危険な人物に見えたのかもしれません。でもそれが突発的なものなのか・健康上の理由なのか?それとも個人の都合なのか?やはりそれは知りたいですよ!少なくとも私は!

ただでさえ骨髄移植の治療って、医療従事者自身が「荒っぽい治療」と認めているくらい「この治療をすれば自然に健康体になる」という理屈が通じずうまくいかない事が多いものですから、ただでさえ不信感・やるせなさが多いのです。

そんな中でドナーさんの確保という人時の面でも想定外の事ばかり起こり、待つ側はただひたすら何が起ころうと耐え忍んで待つだけ、という状況は心理的な面から言ってもよろしく無い、と感じるようになりました。気持ちの持ちようかもしれないのですが、今考えてみてもあの状況は治療にもいい影響を与えていなかったと思います。

そんなことを繰り返していると、患者側から見た骨髄バンクのシステムの問題点というのが段々と見えてくる訳です。残念なことに記録してはいなかったのですが、以下のような事を考えたと記憶しています。

・形態がボランティアであり限り、ドナーさんの確保には限界がある。下限20才というのは狭すぎ。15歳くらいまで年齢を落とし高校にアクションを起こして多くの若者を取り込めるようになれば?若者は正義感が人が多い。多人数の一括登録も見込める。

・ドナーさんに対しての自治体の支援制度があまりに知られていない(大都市を中心とした一部の自治体であるが、最大1回あたり14万補助)。謝礼が5000円では誰もが抵抗感を持つ。有名人とコラボする等して支援制度の存在を拡販すべき

・移植を受ける人の待遇に差があるように思える。人によっては移植コーディネーターと何度も面会している人もいるようだが、私自身にはそんな話は全くない。対面でなくていいので、何らかの形で話をする機会は作れないのか?

・骨髄移植が身内でなく骨髄バンク経由のドナーさんである限り、その状況を説明する義務はバンク側にあると思う。もちろんドナーさん側の個人情報は守られるべきであるが、個人情報を除いた現状を開示するのにためらう理由が分からない。家族や知人に対して自身の状況を説明しにくい。何度も何度もくじけそうになっている理由について他人への説明が難解。もう少し情報、特に実情を開示してほしい。

こんな内容の”上申書”的な書類をA4用紙7ページくらいに作成し、あるタイミングで「骨髄バンクの窓口の方と話をしたい」と電話で訴えました。その訴えも中々回答が来ず、その話をしてから1か月後くらいにようやく営業の方と電話で話すことができました。

その方は、全国各地で行われている献血のイベントに立ち合い、献血と同時に骨髄バンクの登録の販促活動を行っているので中々時間が取れない、福岡に出向くのもいつになるかわからない、との回答でした。

それに対し私は、「では私の方からそちらに出向く。北海道だろうが沖縄だろうが自腹で駆けつけるので、都合のいい場所を提示してほしい」と訴えました。私は完全に本気でした。どこであろうと指定の場所に自腹で行くつもりでした。資料をメールで送る方法もあったと思いますが、どうしても直接自分の言葉で話したかったのです。今思い返せばその時の私はかなり殺気立っていたと思います。

その営業の方、40歳くらいの生真面目そうな男性でした。その後池江恵理子さんが白血病にかかった時のテレビ番組の特集があった際、骨髄バンクの関係者としてこの方が出てきたのでそれなりの方なのだと思います。

私の訴えに対し、その営業の方は流石に逃れられないと思ったのか「後日連絡します」とし、数日後「●●日後になるが◎月〇日に福岡県庁で行われる献血イベントに立ち会うことになった。20分程度しか時間は取れないが、その時なら会うのは可能」と連絡が入りました。

もちろん私は有休をとってその面談に向かいました。県庁の隅の椅子でようやくの対面。営業の方からNという名前の名刺をもらいました。Nさんは私の健康状態を気にしてくれましたが、私は時間がないこともあり、一気に上申書の内容をまくしたてました。
Nさんは非常に熱心に聞いてくれました、しかし「骨髄バンクは資金面の問題でなかなかやりたいことに手を付けれていない。しかし、おっしゃられることは十分理解できるので何らかの方法でこの訴えは上層部にかならず上げたい」と語ってくれました。約30分近くの面談でした。Nさんとはそれで別れました。

その後、私はずっと回答を期待して待ちました。内容的に15項目くらい改善・見直し・新設を要望しており、すべて実現するとは思っていなかったのですが、ひとつでも引っかかれば?という気持ちは強くありました。面談したのは移植入院直前であり、勤務先の階段を上るのでも息を切らしている状態であり、そんな中仕事の合間を縫って必死に作成した書面でした。

その2週間後くらいに、ドナーさんが確定し入院、入院1か月後には移植が実現しました。移植が実現すれば骨髄バンクのシステムに異議を唱えることはナンセンスなのかもしれません。予後が悪くならなければ。しかし、私の訴えはおかしな内容ではない、更にはこれから移植を受ける患者にしても有意義なものだと思い、回答を待ち続けました。たまにはバンクに電話したりもしましたがNさんから返信は有りませんした。

そして移植も無事終わり病院も退院、GVHDに耐える静養期間になりました。そんな中でも全くNさんからの返信は有りませんした。移植から約3か月後、骨髄バンクに何度も電話しかなり強い口調で「Nさんに話を聞きたい」と繰り返し訴えました。数日後ようやくNさんから電話が入りました。

久しぶりのNさんとの会話です。Nさんは私が無事移植が完了し退院できたことを労ってくれましたが、上申書の話になると途端に歯切れが悪くなりました。「上には書類は上げた、また社内各部署に「こんな意見が上がっている」という事で情報共有を行った、、、という回答でした。

しかし私にどうもその口調が後付けにしか聞こえませんでした。「上に上げたが最終的に何も通らなかった」というのもひとつの結論ですし「まだどうのこうのできる出来る段階ではなく一旦保留となった」というのもひとつの結論です。でも私の電話を受け急にそんな話を始めた印象を持ちました。

そしてその時のNさんの対応、口調、雰囲気から私は「そこまでしてくれてないな」と感じました。もちろん私の一方的な思い込みですが、ではなぜ多忙を理由に私の連絡に中々対応してくれないのか?納得できない気持ちが沸々湧き上がりました。

私は相当に頭が血が上ってしまいNさんに対し「あなた方は患者をあまりにながしろにしすぎである。骨髄バンクは本当に患者の味方であるのか?むしろ敵に見えるのだが!」そう私は吐き捨て電話を切りました。相当に汚い言葉です。もう少し冷静になるべきだったと思います。あまりに非礼な言葉であったことは反省しています。

そして骨髄バンクとはその後一切連絡を取っていません。そんな事をして何の得になるのか?いやむしろデメリットの方が多い。私の疾患が”再発”する可能性は十分にあるのです。その時点では移植後3ヶ月も経っていませんでしたからその事を十分考慮すべきだと思うのです。

もし病気が再発して再移植という事になったら骨髄バンクに再度頭を下げて登録する事になる訳です。しかしそこまで悪態をついたのなら、、、ないとは思いますが、私は骨髄バンク側からブラックリストに挙げられており、ドナーさんの再リストアップにも支障が出てきたかもしれません。

でもその状況に陥ったとしても、やはり納得できない事が積み重なり言わずにおれませんでした。その発言をした後、「もうお世話にならなくて良いよう絶対再発しないよう毎日を送る!」と子供じみた事を思っていました。

これが私の”戦い”の顛末です。今思い返しても「そこまで怒ることか!」と感じる部分もあります。読んでいただいた方もそう思う方がほとんどでしょう。ただ私が当時病気できつい状況でありながらも非常に強く感じた一件だったので書き残す事にしました。

もちろん骨髄バンクは血液疾患の多くの患者を救ってきた素晴らしい団体です。そして最近は情報についても徐々に開示されてきているように思えます。Xでもフォローしていますし、各種情報も出来るだけ拡散しています。

また、地方自治体の骨髄移植支援制度もずいぶん広まってきました。私が移植したときには福岡市、そして私が住む春日市は行っていなかったのですが、ここ数年のうちに実施するようになりました。これも骨髄バンクほか関係者の地道な努力の賜物だと思います。

私の今回の内容はただの文句言い、病気に辛い状況に対しての八つ当たり、と言われればそうかもしれません。でもやはり書き残したかった!

次回は言い話、素晴らしい人達に囲まれて幸せだったと事を2回連続で書きたいと思います。今日はこんなところです。それでは、また。

#骨髄移植

#骨髄バンク

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