中島みゆき ファイト!はなぜ男の心に刺さるのか?

こんにちは、みやけです。今回は歌手の中島みゆきさんの名曲「ファイト!」について書いてみたいと思います。これもまた以前に書いたブログに加筆して更新したものです。

以前も書きましたが、私は中島みゆきさんについて特別ファンという訳でもないし(好感は持っていますが)それ程知識がある訳ではありません。しかしシングルカットされているわけでもないこの曲は非常に知名度が高い曲であり、特に男性からの支持率が異様に高い!逆境において立ち上がる際の比喩として頻繁に引用される曲です。今回なぜこの曲が大変支持されているのか?分析してみようというものです。

私がこの曲と出会ったのはアルバム「予感」を購入した時になります。それまで「わかれうた」や「ひとり上手」等のシングルを聞いて「いいな」とは思っていましたが、アルバムを買うには至らなかったのです。当時はジュリーを筆頭に野口五郎さんや原田真二さん等色々な”推し”がいましたのでそこまでお小遣いが回らなかった!しかし「悪女」「誘惑」には非常は感銘を受けなんとかお金のやりくりをつけて、その時リリースされていた「予感」を購入したのです。

ただしかし、このアルバム内に収録されている曲について、「ファイト!」以外の曲がどんな曲であったのか?全く覚えておりません。申し訳ないですが。しかし「ファイト!」については私が当時高校生であり、野球部に所属しチーム内では割といじられ役であった為、「闘う君の唄を闘わない奴等が笑うだろう」という有名なフレーズの部分がとても印象にのこり口ずさむことが多かったものでした。

元来不器用であり、人から笑われても黙々努力してきた私(笑)にとっては、このフレーズはとても印象的なものであり、以降中島さんのアルバムを購入する事は無かったものの、この曲だけは定期的に一人で聞いたり、口ずさむことが多かったのです。

では、本題に入ります。この曲は確かに中島さんの代表曲のひとつと言っていいかもしれませんが、何故男性から絶大な支持を得ているのか?私自身聞いた当時は「アルバムの中の1曲」としてとらえておらず、「こんないい曲はもっと世間に知られたらいいのにな」と思っていたのですが、以降私の人生の中で「中島みゆきのこの曲だけは好きだ!」と述べる男性は何人もいましたし、お笑い芸人もよくこの曲のサビの部分を例に例えます。

後日「空と君のあいだに」のカップリング曲となる訳ですが、そこまで大きなインパクトを与えた部分は何があるのか?とりあえず歌詞を文字おこしして見ます。

あたし中卒やからね 仕事をもらわれへんのやと書いた。女の子の手紙の文字は とがりながらふるえている。ガキのくせにと頬を打たれ 少年たちの眼が年をとる。悔しさを握りしめすぎた こぶしの中 爪が突き刺さる。

私 本当は目撃したんです 昨日電車の駅 階段でころがり落ちた子供と つきとばした女のうす笑い。私 驚いてしまって 助けもせず叫びもしなかった。ただ恐くて逃げました 私の敵は 私です。

ファイト! 闘う君の唄を闘わない奴等が笑うだろう。ファイト! 冷たい水の中をふるえながらのぼってゆけ。

暗い水の流れに打たれながら 魚たちのぼってゆく。光ってるのは傷ついてはがれかけた鱗が揺れるから。いっそ水の流れに身を任せ 流れ落ちてしまえば楽なのにね。やせこけて そんなにやせこけて魚たちのぼってゆく。

勝つか負けるかそれはわからない それでもとにかく闘いの出場通知を抱きしめて あいつは海になりました。

ファイト! 闘う君の唄を闘わない奴等が笑うだろう。ファイト! 冷たい水の中をふるえながらのぼってゆけ。

薄情もんが田舎の町にあと足で砂ばかけるって言われてさ出てくならおまえの身内も住めんようにしちゃるって言われてさ。うっかり燃やしたことにしてやっぱり燃やせんかったこの切符。あんたに送るけん持っとってよ 滲んだ文字 東京ゆき。

ファイト! 闘う君の唄を闘わない奴等が笑うだろう。ファイト! 冷たい水の中をふるえながらのぼってゆけ。

あたし男だったらよかったわ 力ずくで男の思うままにならずにすんだかもしれないだけ あたし男に生まれればよかったわ。

ああ 小魚たちの群れきらきらと 海の中の国境を越えてゆく諦めという名の鎖を 身をよじってほどいてゆく。

ファイト! 闘う君の唄を闘わない奴等が笑うだろう。ファイト! 冷たい水の中をふるえながらのぼってゆけ。

やはり男性の心をグッとつかむのは「闘う」というワードであるのは間違いないと思います。ジェンダー平等だなんだと言われていますが、男性と女性の基本的な思考パターンは古来から受け継がれた遺伝子もありますし、そう変わるものではない。男は「他者とは闘わねばならない」という感覚が基本であり、女は周囲と強調して平和的解決を図ろうとする。差別でも何でもなく、全世界男女の感覚というのはそのようなものではないでしょうか?

では単純に「闘い」というワードが入っているから「ファイト!」をインパクトが強いのか?いや、それだけではないと思うのです!それは「ファイト!~」のフレーズ以外の歌詞が大きな影響を及ぼしていると思うのですよ。

まず最初の「あたし中卒~私です」までの部分は歌い手のキャラは大変しおらしい昭和的な耐え忍ぶけなげな女性のイメージがこれでもかと描かれています。人に対して自己主張を行うなんてとんでもない!私は人様の迷惑にならぬようひっそりと生きていく、、的な。当然聴く側とすればこの感覚で最後までいくのだろうな、と思う訳です。

この流れていくと、自分を鼓舞する表現として「頑張ろう!」「負けちゃダメ!」的な内向けな女性的感情になると思うのです。その流れとしたら「ファイト!」というワードを用いるのは自然です。しかし次に

「闘う」

という実に男性的なワードがぶち込まれるのです。意外と男性自身が気が付かないものかもしれませんが、苦境に打ち勝つため「闘う」という単語を引用するのは大変に男性的感覚なのですよ。聴く側とすればずっとか弱い女性のセリフを聴いてきて、それがずっと続くのだろうと思っていると合いの手で「闘う」というワード!これって急に喉元に刃物を突き立てられるというか、予想外の大どんでん返しの展開だと思うのですよ。

それまで女性的な歌詞が続く中、何となく下へ下へと潜伏しつついく中「闘う君」と来て「ふるえながらのぼろう!」という自己主張して行動せよ!という発想の大転換!私のこの妄想?が中島さんの意図したものかは分かりませんが、このドラマチックな歌詞の切り替えがこの曲の核というか大きなインパクトを残す要因になっているのだと思うのです。

「小魚がふるえながらのぼっていく」よう曲自体も右肩上がりでテンションを上げていく、そのような感じなのですよね。

私の「ファイト!」に関する考察はこんなところです。プラス余談になりますが、この曲の舞台というのはどう見ても私の住む福岡なのです。たまに大阪弁も混在してはいるのですが、「あと足で砂ばかける」「身内も住めんようにしちゃる」「あんたに送るけん持っとってよ」、、、、このあたりの表現は完全に博多弁なのですよ。まあ、閉鎖的な田舎という舞台として福岡というのはうってつけではあると思うのですが、、、

中島さんの出身地はご存じのように北海道、なんだか実体験を思わせたり、「小魚が水の中を上っていく」という表現は北海道・東北を舞台にするのが自然ではないかと思うのですが、なぜ福岡?実は福岡には鮭が昇る川の最南端であると言われていた「鮭神社」という神社があるのです。それほど有名な神社ではないのですが、酒を神様として 崇め、周辺の人は食事の際は今でも鮭を食卓に並べる事はならしいのです。

https://www.crossroadfukuoka.jp/spot/11672

鮭と言えば北海道(←短絡的発想!)。中島さんはどこかでこの鮭神社の事を聞いて、舞台を福岡にしたのかな?そんなことを思ったりもします。

今日はこんなところです。それでは、また。

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